第3話

「でもさ、おにーさん?」

「止めねーよ。」

「うん。分かってる。」


セミロングの髪が風に靡いた。

退けた女は鼻を啜って笑った。



「死ぬ前にね、1回セックスしてみたいの。」


「は?」


思わず声をあげた。

気でも狂(ふ)れてるのか。



「駄目?私の年でやれることは、大体やった気がするのね?

でもセックスはまだだったなって。

おにーさん格好いいし。今、したいって思ったの。

で、自分を追い詰める。衝動で未遂なんて嫌だもん。


だから、したいの。

絶望的なセックス。」



俺は女が喋り終わるか終わらないかの内に押し倒していた。

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