第15話ジェネシス

ロレーヌは封じられていた力を解放した。

時間の弾力で自分を飛ばし、力の弾力の弾力で、周りの物をマエストロに向かって跳ばした。

「だからその力じゃ、ダメなんだよ」

マエストロは楽しそうに笑った。

「いくら、〝純粋な悪の力を授けられてもね〟(アイツ)の力でもね」

「たとえそうだとしても。私は、ここで止めるわけにはいかないの」

そう言うと、ロレーヌはそこら中に散らばっていた、自分の羽根に念を込めた。

それこそが、ロレーヌの奥の手であった。マエストロの全身を白と黒の羽根包み込んだ

ロレーヌが〝決まった〟そう思うより早く、マエストロの声が聞こえてきた。

「ドミニク」

ロレーヌが父と呼んだ男に声をかけた。

「ドミニクって言うかジョーカーっていった方が正しいかな」

マエストロは楽しそうに笑った。

すると、マエストロに刺さっていた、羽根は滑り落ちた。

〝ジョーカー?〟

ロレーヌ以外の誰もがキョトンとしてしまった。


「私の負けね」

ロレーヌは憑き物の落ちたような顔で笑顔を見せた。


「ジョーカー、この世界に干渉するのは、ルール違反だろ」

そう言うと、マエストロはドミニクに向かって握っていた、小石を飛ばした。小石を息の一吹きで砕いてみせた。

「それを言ったら、お前もだろう」

ドミニクは軽い笑いを見せた。

「誰の差しがねだい」

「それは知らなくていいよ」

2人の問答は2人以外には訳がわからなかった。ジョーカーは空中から、降り立った。

嫌な予感がした。マエストロはロレーヌとドミニクの間に立った。

「フール、君にしては甘いね」

ドミニクはジョーカー。マエストロはザ・フールという、真の名前が明らかになった。

2人の読み合いは今回はジョーカーに軍配が上がった。ジョーカーはロレーヌではなく、ミハルを肩にかせぐと、何が面白いのか笑った。

「この子は強くなるぞ。ロレーヌ以上にね」

そう言うと、次元の狭間に消えていった。


「悔しいけど、今回は僕の負けだね。」


フールは負けを認めながら、笑顔を絶やす事はなかった。


「とりあえず、飯にしようか」


次の朝、フールはドミニクの遺体運んできた。

「ジョーカーを追おと思うんだけど、ロレーヌ、付いて来るかい」

ロレーヌは悩むことなく

「勿論です」

即答した

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聖と魔とは 奇想の森 @inoyan69

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