第19話

「……え?」




優太の発言にあたしは再び驚きの声を上げた。




だって俺に譲ってくれって、そんな……。



優太ってあたしのことが好きだったの……!?




急速に心臓の鼓動が速まっていく。




全然気付かなかった。



あたしって結構鈍感だったんだ。





「あ?んなの梨花が決めることだろうが」




苛立ちを隠せないんだろう。



口調を荒らげた啓介は余裕な笑みを浮かべて、あたしに視線を送ってくる。




「まぁ……、そうだけど」



一方、優太は視線を落として唇を噛み締めた。



何だかちょっと悔しそう。



ってか何?このあたしの取り合いみたいな昼ドラ風の展開は。




どっちか選べってこと?




「そんなの答えなんて決まってるでしょ」




あたしは啓介の彼女で。



付き合って2ヶ月で。



別れる決心も出来てなくて……。




こんなの選ぶまでもない。





「優太」



「……何?」



「だから優太」



「……え?俺?」




そんなあたしのハートを揺さぶるくらいのホームランを放った優太を、選ぶに決まってるでしょうが……!

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