第20話
「……は?」
明らかに驚愕した表情を浮かべる啓介にあたしは……。
「今までお世話になりましたー!さようなら。浮気男ー!」
力いっぱい叫んで優太の手を引いて背中を向けた。
啓介のお得意の舌打ちが聞こえたけど、もうどうでもいい。
浮気者はうんざりなの。
それに、あたしの彼氏様は今日から優太だし。
「ねぇ、優太。今年の夏はお祭りと、海と、花火に行きた~い」
「いや、いいけどさ……」
「でも、やっぱり1番は甲子園に連れて行って欲しい」
「ほんと可愛いな。お前。ってそれよりもさ……」
「何~?」
「……さっき言ったのマジ?俺、本気に取っていいの?」
不安げにあたしを見つめる優太に愛しさが込み上げる。
「それってホームランを打ったのにファールじゃないですか? って聞くのと一緒だよ」
足を止めてそう言い返したあたしに優太は「なるほどな」と照れくさそうに笑った。
ドコまでも優しい優太。
ドコまでも我儘なあたし。
プラスとマイナスみたいで
ちょうどいいんじゃない?
「いっぱい可愛いがってね?」
fin
「ね、部活行かなくていいの?」
「大丈夫。さっきから監督がニヤニヤ笑いながら隠れてこっち見てるし」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます