第12話

何だか物凄く甘えたい気分になっちゃったあたし。




「ねぇ、優太。 おんぶして?」




優太にそうお願いしてみた。




おんぶなんて子供みたいだけど別にいい。




だって甘えたいんだもん。





「は? おんぶ? しょうがねーな」




優太は呆れたように溜め息を吐きながらも、しゃがんでくれた。




優しすぎでしょ。



優太と付き合う女の子って絶対に幸せになれると思う。



あり得ないくらい溺愛してくれそう。



浮気とかしなさそうだし。




そう思いながらあたしは優太の背中に体を預けた。




ギュッと首に腕を絡ませ、バレないようにそっと背中に指を滑らせる。




堪んないね。うん。




「あ、そう言えば部活に行かなくて大丈夫なの?」




軽々とあたしを持ち上げた優太にあたしはそう尋ねた。




勢い余って優太に泣き付いちゃったけど、よくよく考えてみれば部活に行く途中だったはず。




監督……、怖いって噂だし。




あたしの所為で優太が怒られたら悪いもん。




「そんなこと気にすんなよ」



「でも……」



「それより大丈夫か?」




それなのに優太は心配するあたし以上に心配そうに聞き返してくる。




ドコまで優しいんだ優太は。




ほんと、あり得ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る