第11話

溜め息交じりに野球部の男の子に手を振った優太は、そのままあたしを連れて廊下を黙々と歩いていく。




ドコに行くんだろう?




そう思いながらも黙って優太の後を付いていく。




振り返らずに歩く優太。



自然と目が背中に向かってしまう。




優太の背中は広くて、ほんと野球少年って感じ。




シャツ越しでも筋肉があるって分かる。




啓介とはまた違った背中。




鍛えているんだろうなー。



野球部だし。



触ってみたい……。




なんて思った頃には既に優太の背中に触れてしまっていた。





「ん?何?」




振り返った優太は不思議そうな顔であたしを見つめてくる。




「何でもない」




あたしは首を横に振って優太にニッコリ笑顔を向けた。




触れた指先がほんのり熱い。




優太の背中は、やっぱりかなり引き締まってた。




背筋フェチなあたしにとっては堪んない。




そんなこと優太には絶対に言えないけど。




「何だよ。変なやつ」




無邪気に笑う優太に癒される。




自然と顔がニヤケちゃうよ。

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