第3話

生徒で賑わう廊下をひたすら無意味に足音を立てて歩く。




すれ違う度にジロジロ見られてるけど、そんなの関係ない。




しかし、いざ啓介に背中を向けて立ち去ってみたのは良いけど、不安。



大丈夫かな?




今更、心配になってきた。




まさか、あの女の子とあのまま空き教室に……なんてないよね?




あぁ、もう。考えるだけで泣きそうだし……。



目に涙が溜まってくる。






あたしと啓介は付き合って2ヶ月ちょっと。




付き合いたての啓介はあんな男じゃなかった。




優しくて、あたしをいつも優先してくれて。




“梨花だけだよ”




そう何度も言ってくれてたのに。




それも最初の3週間だけ。



ここ最近は女の子を取っ替え引っ替えしている。




何が梨花だけよ。



何人いるのさ、あんたの特別は。



やっぱり超軽い男じゃん。




結局あたしのことも遊び……なのかな?




そうだとしたら悔しいー!



鬱陶しすぎて腹が立つ。



あんなやつに惚れている自分がムカつく。



口だけの男なのに。




それでも愛されたい……なんて思っちゃう自分はホント馬鹿。




1人でめそめそ泣きそうになってさ。




馬鹿みたい。

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