第36話

ありがとうございます。神様。ありがとうございます。


死ねる…。


黙って口を押さえ、心の中で歓喜の声を上げる。



今すぐ5秒前に戻ってボイスレコーダーに録音したい。


録音して永遠にBGMとして流したい。



あぁ、やばい。このままベッドで全力クロールしたい気分だ。


嬉しくってしょうがない。気を抜いたらニンマリと笑ってしまいそう。


言葉1つで、行動1つで、ここまで私の心を揺さぶるなんて蓮くんったら狡い。




「ふふっ。本当に〜?嬉しい」


「嘘」


「え、嘘?」


「冗談だよ」


「冗談?え?冗談ってどっち?どっちが冗談?」


「さぁな」


「えー、教えてよっ。蓮く~ん」




そこはもう割りかし、かなりの重要ポイント。


顔を上げて必死に蓮くんの体を揺する。



そしたら大声で名前を呼ぶな!といつも通り怒られた。



そこからさっと起き上がって、私に背中を向けて、すっかりいつもの蓮くんの出来上がり。



そろそろ用意しないとね。と、愛しい彼は入学式の準備をするべくワイシャツに手を伸ばす。



うん。やっぱり形はどうあろうと一緒みたいだ。 



私達は何も変わらない。


その距離が0センチになったって。


ずーっと。




正直者が愛を見る【完】

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正直者が愛を見る【完】 柚木ミナ @yuzuki-mina

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