0センチ

第30話

🖤




「ごめーん。まだ寝てるみたい。適当に起こしてやって〜」


「はい、ありがとうございます」




卒業式から日は過ぎ、大学の入学式の日。太陽もまだ登り切っていない時間に蓮くんの家に行き、出迎えてくれたオバサンと軽く話しながら蓮くんの部屋のドアを開ける。



出掛けるにはまだ早い時間だけど、スーツ姿の蓮くんを見るのが楽しみすぎて待ちきれなかった。



だってやばい。絶対に似合うし、想像しただけでカッコイイ。


願わくは一緒に写真を撮りたい。


無理ならせめて隠し撮りで。





「蓮くん?」



逸る気持ちを抑えながら部屋に入って声を掛ける。


ベッドに近付き中を覗くと当たり前だけど、蓮くんはまだ夢の中だった。



布団に包まれて普通に寝ている。


無防備に。

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