第29話
「そんなに嫌?」
「マジで嫌」
「分かった。じゃあ、1回終わらそう」
「はぁ?」
「卒業しようよ」
「卒業?」
「今までの私達は終わり。新しい私達を始めよう」
正直な気持ちを少し強引に欲と願いを込めて言った。
終わらすと言うよりは区切り。
今までの私達は消えないし、消さない。
ずっと残したまま新しく始める。
また1から。
「そうだな…」
蓮くんは考え込むような顔でそう一言。
そして直ぐに「ってか結局、明日香に言わせてるし」って苦笑いを浮かべた。
ただ一応、考えてはくれるらしい。
本音を言えば今すぐ進み出したいなぁと思うけど、今はまだ気持ちだけでいいや。
無理に進もうとしたって気まずくなるだけだから。
でも、言って良かった。
これも卒業。
隠していた気持ちを晒け出して再出発。
「お前ら別れんなよ〜!」
「当たり前でしょー!」
クラスメイトに叫ばれて叫び返す。
最後であって始まりでもある日。
ふざける友達に手を振り、2人で門から一歩、歩き出した。
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