第90話

「智明サン、ハナレテクダサイ」




早く私から離れてよ。




じゃなきゃ、このまま流されてしまいそう。




「なにそれ?宇宙人の真似?」




智明はケラケラ笑い始めた。




けど、体は密着したままで離れてくれない。




「離れなさいよ。早く」



「離れるよ。さっちゃんを昇り切らせた後にね」



「……は?」



「大丈夫。最後まではしないから」




そう言って不敵に笑う智明は、やっぱり悪魔で。




その後、サタン智明が離れてくれるはずもなく、私は智明の指に不覚にも弄ばれた。




情けなくて、こんなにも屈辱的なことは初めてで。




嫌だと思うのに、酔いしれて身を委ねてしまった自分は本当にバカで。




頭が真っ白になる瞬間、



抵抗しなかったことを心の底から後悔した──。

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