第82話

「えっと……」




全然記憶にございませんが?




「だからさ……偽ってた」



「……は?」



「自分を偽ってた。忠実で犬みたいな男になりきってたんだよ」



「嘘……」




全然気づかなかったんだけど。




「ホント。小3くらいから」




そう言われて記憶を辿る。




少3ってことは小2までが素の智明だったってこと?




小2の智明……。




“やーい!チビ紗理奈!”




全身に鳥肌がたった。




覚えてる。




記憶の片隅で。




いじめっこ智明を。

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