第81話

「あんた……やっぱり今日おかしいよ。いつもの智明じゃない」




智明はいつもこんなに強引じゃない。




もっと女々しくて、しつこくて、鬱陶しいくらい忠実で。




優しすぎる男だったはず。




それがどうしてこんなに強引で鬼畜な男に……。




「吹っ切れたんだよ」




智明は少し動けば唇が触れそうなくらい顔を近づけてきた。




さっきから無駄に顔が近い。




「……何が?」



「もう、遠慮すんのやめた」




そう言って智明は私の顔を両手で掴んできた。




「なに……?」



「さっちゃんさ……昔、忠実な犬みたいな男が好きって言っただろ?」




そ ん な こ と 言 っ た ?

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