第65話

「ごめん。俺、最低だよな。さっちゃんが離れていくと思ったら頭に血が上って……」



「うん。最低だ」




ショックを受けた顔をする智明にため息が出る。




ショックなのはこっちだし。




「ごめん! 嫌いにならな……」



「嫌いになった」




キッパリ言い切った私に智明は泣きそうな顔で抱き着いてきた。




「嫌だ!離れて行かないで!」



「こんな無理矢理ヤろうとする危険な男は嫌だ」




こんなときにすらシツコイなこいつは。




傷つけたこと謝ろうと思ったけど止めとこ。




「とにかく、離して」



「それは無理」

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