第64話
「智…明……」
「な、なに?」
さっきから私をじっと見て固まっていた智明は、私の声に体を思いっきりビクつかせた。
あまりジロジロ見ないで欲しい。
恥ずかしいのに。
智明の不審な行動を不思議に思いつつ……私は顔を背けた。
「なに驚いてるの?ってかそんなに見ないでよ……」
「え?あ、ごめん。その想像してたよりも、綺麗すぎて……あ、いや違う」
「はぁ?」
智明はちょっと顔を赤らめると私から恥ずかしそうに顔を背けた。
「ごめん……さっちゃんが綺麗すぎて緊張してきた」
「……あんたさ……人のシャツを思いっきり引き裂いておいて何言ってんの?」
いつも通りの智明に怖いのも少しずつ薄らいでくる。
むしろ、呆れてきた。
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