第63話

ボタンが床に転がっていく。



涙が零れて、シーツに染みが出来る。



智明は……いつも女々しくて、しつこくて、鬱陶しくて。




でも、一生懸命で優しくて私を大事にしてくれて。




何度冷たく突き放しても、私を好きだって言ってくれた。




私を1人の女の子として好きなのは、わかっていたのに。




男として見れないから。なんて理由で突き放されて、どれほど傷ついただろう……。




智明と私は兄妹でも何でもない。



紛れもなく男と女だ。




男として見れないから友達になりたい。なんて理由、今思えばおかしいよね。




こんなことをさせるくらい、智明のことを傷つけてしまったんだ。

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