第56話

「どうせ、いい話じゃないだろ?さっちゃんが改まって言う話なんてさ」



「………」




何も言い返せない。




確かにいい話ではないと思うし。




突き刺さるような視線に堪えきれなくなった私は智明から目を逸らした。




「ほら、やっぱり。言い返せないってことは悪い話なんだ?」




智明にはバレバレだったか。




顔がひきつって笑えなかったせいもあるのかもしれない。




智明は小さくため息をつくと再び寝転がった。




「いい話じゃない。でも、聞いて欲しい」



「嫌だ」




智明は顔を背けて手で耳を塞ぎ出す。

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