恐怖への扉を叩く

第53話

部活も終わり、私たちは智明の家に帰ってきた。




もう、離れるって話をすると思うと緊張する。



いつ言い出そう……。




智明はそんな私の様子に気付くこともなく、呑気に漫画を読んでケラケラ笑ってる。




凄く言い出しにくい。




「………」



「さっちゃん?さっきからどうしたの?ボーっとして」




智明は私の視線に気付いたのか、本を閉じて私を不思議そうな顔で見つめてきた。




いつもと変わらない優しい顔をした智明に思わず怯みそうになる。



でも、いつかは言わなきゃいけないことだ。




話すなら今しかない。




早く言ってしまおう。




決心が鈍る前に。

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