第48話

「あ、いや、なんでもないです」




結局、上手い言葉が思いつかなくて会話を終了させてしまった。




あーあ。折角、話せたのに。




勿体ないことをしたな……。




「これ、サンキュー」




和田君はタオルを私に返すと、稽古に戻っていった。




何か言わなきゃ……。




「あの、和田君!」




私は後先を考えずに、去っていく和田君の背中に声をかけてしまった。




「ん?呼んだ?」




呼び掛けられた和田君は、私を不思議そうな顔で見る。




参った。呼び止めたのは良かったものの、話す話題も言う言葉もない。




会話が見つからない。

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