第40話

「いらないってば!持ってても邪魔だし。それに軽いノリで他人に家の鍵を渡すものじゃないから」




そう簡単に家の鍵を渡してたら、いつか本気で泥棒に入られるかも知れないのに。




無用心にも程がある。




「軽いノリじゃねーし。紗理奈は特別だから。だから持ってて?」




真っ直ぐ見つめながら言われて、また胸がときめく。




掴まれた右手が熱い。




智明の“紗理奈”マジックは、私が思っていた以上に攻撃力が高いみたいだ。



さっきまで本気でいらないって思っていたのに、少し嬉しく感じてくる。




“特別”って言葉も嬉しいのかも知れない。

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