第38話

柄にもなく寂しいって思わせといて何なの……!



ムカつく。




「もう黙って。早く行かなきゃ遅刻しちゃうし」



「ごめん!あ、これあげるから機嫌直して?」




智明は歩きだした私の右肩を掴んでシルバーの鍵を差し出した。




「なにこれ?」



「俺の家の合鍵」



「……いらない」




い る わ け が な い !




私は肩を掴まれていた手を払って智明を睨んだ。




「えぇっ?なんで?普通、合鍵を貰ったら『え?いいの?』って頬を染めつつ、喜ぶだろ?」



「喜ぶわけないでしょ?あんたの家の鍵を貰ったって使わないし」




本気で驚いた顔をする智明に心底呆れる。

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