第37話

寂しく感じながら、エレベーターで1階に降りたら……。



智明がエレベーターの前で携帯を弄ってた。




「さっちゃん?遅かったね?今、電話を掛けようと思っていたところだったよ」




静かなホールに智明の暖かな声が響く。




それは私が1人ぼっちじゃないって主張してくれている気がした。




私はこいつの声が凄く好き。



暖かくて安心する。




「ここで何してたの?」



「えぇ?俺、ずっとここでさっちゃんを待っていたんだよ?」




下にいたのか。



さっさと降りていれば変な寂しさを味わうこともなかったのに。




私、バカだな。




「下にいるとか知らないし。あんた、いつも家の前で待ってたじゃん」



「さっちゃんが昨日、家の前は嫌だって言ったから下で待ってたんだろ!」




智明は苛立たしげに眉を潜める。



確かに。確かに言ったけど……。




ムッとした顔をする智明に苛立ちが募る。




「下で待つなら普通、一言でも言うでしょうが!」



「あ、忘れてた」




この男は……!

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