第32話

「えぇっ?好きか嫌いかの選択肢で嫌いじゃないってことは好きでしょ?」



「いやいや、待ちなさい。あるでしょ?“普通”って選択肢が!」




また自分の都合のいいように自己解釈してるし……。




「普通かぁ……」



「そう、普通。あんたは兄妹みたいなもんなの」




恋愛対象には絶対に入らない。




だって、物心がつく前から一緒に過ごしてきたんだ。



今さら、男としては見れない。




「俺は、さっちゃんのことを女として見てるよ?異性として好き」




智明はサラっと軽々しく私に愛の言葉を囁く。




不覚にも、またドキッと胸が高鳴った。




これは作戦か何か?



『紗理奈をドキドキさせて、少しは綺麗にしてやってくれ』



って依頼でも受けているんじゃないか?とさえ思えてくる。

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