第17話

熱く語る智明に嫌気がさした私はイスから立ち上がった。




「無理。私、バイトするつもりだし」




智明を見下ろして冷たい声で言い放つ。




嘘は言ってない。



バイトは本気でするつもりだったし。



さすがに智明もこれで何も言えまい。




「……わかった」




やっと諦めたか。




「バイトをしなくてもいいように交渉する」



「……は?」




なにそれ?



自信満々に親指を立てる智明に怪訝な目を向ける。




「お小遣い欲しいんでしょ?お小遣いを増やして貰えるように交渉するよ」




そ こ ま で す る か ?




「無理でしょ。唯でさえ私立に通わせて貰っているうえに、生活費まで出して貰っているんだから」




これ以上迷惑は掛けたくない。




「大丈夫!親父に頼むから」




私の机に頬杖をついていた智明は急に立ち上がって、平然とした顔であり得ないことを言い出した。



余計に大丈夫じゃないっての。

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