第16話

「俺、剣道部に入るんだ。だからさっちゃんはマネージャーになって欲しい」



「嫌だ」




そんなことだろうと思った。




智明は肩をガックリ落として、私を上目使いで見上げてくる。




「えぇ~?即答?」



「これ以上面倒くさいことに巻き込まないで」




唯でさえ学校も嫌なのにマネージャーなんてやってられない。




「楽しいって!俺と一緒に青春の汗を流そうよ?」



「あんたと青春の汗なんて流したくない。それにあんたその髪で剣道部に入れるの?」




智明の髪の毛を指先で軽く弄りながら尋ねる。




コイツは中学を卒業してから、何を浮かれたのか髪の毛を茶髪に染めたんだ。



それがちょっと似合ってて余計に腹が立つ。




「大丈夫だよ。ちょっとくらい。それより、さっちゃんにマネージャーになって欲しいんだ!」




智明は、また私の手をとって熱く語ってくる。



あぁー。もう。しつこいな。




いい加減……払い除けるのも疲れてきた。

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