第15話

「さっちゃん今日、俺に対して冷たくない?」




悲しそうに眉を下げる智明から目を逸らす。




「別に?いつもと全く変わらないけど?」




ま、本当はいつもよりイライラしてる。



慣れない環境、慣れない場所、慣れない人。



もう息が詰まりそう。




げんなりしすぎて机に体を伏せたら、智明は黙って私の頭を撫でてきた。




きっと慰めてくれてるんだね。




だがお断りだ!




私は智明の手を思いっきり叩いて払い除けた。




それでも、智明はピクリとも表情を変えずに笑顔を向けてくる。





「さっちゃんは部活に入る?」



「は?部活?」




急に脈絡の無い話題を振られて声が裏返る。




智明らしいと言うか、何と言うか……部活ね。考えてなかったな。




別に入りたい部活なんてないし。




「入りたい部活もないし、入らないかな」



「本当……!?」




いや、どうして目を輝かせてるのさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る