第3話
制服を整え、溜め息交じりに家のドアを開けて外に出た。
爽やかな風が部屋の中に吹き抜ける。
玄関の前には、予想通り……やっぱりアイツがいた。
幼なじみの智明。
色素の薄い髪、整えた眉、目尻が細く切れ込んだ目、平凡的な鼻、微笑を浮かべる口元。
真新しいブレザーを片手に、白いシャツと緑のチェックのズボンを履いて、ドアの横でだらしなく座り込んで携帯を弄ってる。
「……朝から人の家の前で座り込まないでくれない?引っ越し早々変な目で見られるでしょうが」
「おはよ!さっちゃん!」
嫌味のつもりで言ったのに、智明は私の方に振り返るとパァーっと笑顔を振りまいてきた。
まるでスーパーの前でご主人様を待っていた子犬みたい。
この様子だと私の話なんて全く耳に入ってないなー。
「いい加減、人の話を聞くってことを覚えたら?」
「え?聞いてたよ?明日からさっちゃんの家の中で待っとけばいいんでしょ?」
全身に虫酸が走る。
どこからそんな考えが出てくるんだ?
顔をしかめて首を横に振ってみせても、智明は全く怯む様子もなくヘラヘラと笑う。
短絡的なプラス思考で、自分の都合にいいように勝手に解釈しないで欲しい。
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