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◇◇◇


 日本の名門高校を卒業後、俺は難関だと言われているボストンの大学へ進学した。

 子どものころから家業を継ぎたいと思っていたので、経営学をみっちりと学びたかったのだ。

 MBAの学位取得のため、ビジネススクールでの勉強も二年間あるから、それを含めるとアメリカ生活は六年の予定になる。


 半年後に帰国を控えたある日、日本から語学留学生が来ていると聞いた。

 大学生が春休みを利用して短期留学してきたらしく、翠々はその中のひとりだった。


「はじめまして。白川翠々です。四月から大学三年で、年齢は二十歳はたちです」


 恥ずかしそうに頬を染めながら自己紹介をする翠々は清楚でかわいくて、俺は一瞬で目を奪われてしまう。


「はじめまして。鳴宮 琉輝です。ビジネススクールに通ってる二十四歳」

「うわぁ、大人っぽいはずですよね。私より四歳も年上ですもんね」


 四歳年上の男は彼女にとってアリなのかナシなのか。

 緊張しながら愛想笑いを浮かべているその表情からは本心を読み取れない。

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