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「大丈夫」
彼にそう言われたら本当に全部解決できそうな気がするから不思議だ。
いつだって琉輝さんはやさしさだけでなく元気も分け与えてくれる。私にとってはヒーローだ。
一緒に食事をしようと誘われたが、琉輝さんはまだ仕事が残っているようだったし、私もコーヒーまみれでひどい格好だったので、また次の機会にということになった。
肩に掛けてくれていた上着を返そうとしたら、着て帰ればいいと言ってくれたのでお言葉に甘えることにした。白いブラウスに広範囲に広がった茶色いシミが隠せるからありがたい。
「送ってやれなくてごめん」
「謝るのは私のほうです。迷惑をかけてしまって……」
琉輝さんがうつむく私の頭をポンポンとやさしく撫でる。私はこの大きな手の平が大好きだ。
ペコリとおじぎをして背を向ける。
歩き出したあとにそっと振り向くと、そこにはまだ彼がいて、笑みをたたえながら軽く手を振ってくれた。
会うのは半年ぶりだったけれど、私はちっとも琉輝さんを忘れていなかった。
それどころか、出会ってからずっと恋をしたままなのだと思い知った。
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