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「正確に言うとフライト管理とかオペレーションの実務を担ってるスターレイル・エアポートっていう会社。一週間前に日本に戻ってきたんだ」

「そうなんですね」

「連絡してなくて悪かった」


 琉輝さんは優秀だから、出世して日本に栄転になったのだろうなと容易に想像がついた。

 なにせMBAを取得しているエリートだ。スターレイルエアという大手の航空会社でバリバリ働いているのもうなずける。


「翠々、大丈夫か?」


 琉輝さんが紺色のハンカチをそっと差し出しながら、コーヒーをかけられて濡れている私の様子をうかがう。


「みっともないところを見られてしまいましたね。恥ずかしいです」


 半年ぶりに顔を合わせるのだから、できることなら感動的な再会を果たしたかった。

 なのによりによって私の人生で一番最悪な場面を彼に見られるなんて。


「あの女性は誰?」


 彼がいつからあそこにいたのかはわからないが、叔母のことも目撃していたようだ。


「叔母です。……父の妹の」

「なにか揉めたのか?」


 この期に及んで隠す必要もないので、お見合いをした相手にその場で断ってしまって叔母の逆鱗げきりんに触れたのだと正直に話した。

 たどたどしく言葉を紡ぐ私を、彼はやさしく見守りながら聞いてくれる。

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