第12話
「顔を見にきた」
悠真は優しく笑って私の頭を撫でる。
その懐かしい感覚に、期待と切なさで涙が出そうになった。
「そうなんだ……」
何とか泣きそうなのを我慢して悠真に上着を返す。
シャツ1枚で悠真の方が絶対に寒いはずだもん。
「着ときなよ。俺は暑いくらいだし」
そう言って返した上着をさらに着せてくる悠真に、思わず抱きついて甘えたくなる。
暑いなんてただの強がり。
人一倍寒がりなくせに。
優しすぎて胸が痛い。
「ありがと……」
大人しく上着を借りたら悠真は満足そうに笑った。
こんな風に悠真が穏やかに笑うのを見るのは……別れて以来、初めてかも知れない。
「あのさ……」
悠真は私から目を逸らして小さな声でボソっと言葉を落とす。
穏やかな表情から一変して、苦しそうな表情を浮かべて。
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