第13話

「……なに?」




嫌な予感が全身の神経を逆撫でる。



嫌だ。聞きたくない。



心臓が嫌に騒ぎ立てる。



漠然とした不安に駆られる。



言われなくても表情でわかってしまった。



ずっと子供の頃からの付き合いだったんだもん。




わざわざ捨てた私に会いに来たのは、



こんなにも優しく接してくれる本当の理由は、




「俺、結婚することにしたんだ」




本気で最後の別れを告げるため。




「……そっか。おめでとう」




精一杯笑顔を作って言った、私からの本当のお別れの言葉。



本当は嫌だ。



でも、時の流れは止められない。



結局、悠真と私は結ばれない運命だった。



悠真には結婚したい人がいて、私のことは本気でペットぐらいにしか思っていなかったのが真実。

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