第3話

いや、実際は甘くない。



傍にいる為の条件、“ご主人様の言うことは、絶対に従わなければいけない”



これのどこが甘いのか。



そう頭の中で理解してても、心が“NO”と言ってくれない。



言った時点でチェックメイト。



全てが終わる。





「うん……」




結局逆らえずに着ていた洋服を脱げば、静かに口づけが落ちてきて、恐ろしいほど綺麗に整った顔が私を見下ろす。



その漆黒の瞳に捉えられると、サラサラと流れ続けていた砂時計が止まってしまう。




悠真の口づけは魅惑の味。


悠真の指は官能的。


着物を脱ぎ捨てて露になった綺麗な男の身体が私を魅了する。




人間の本能って怖い。


何が怖いって愛されたいと深く望んでしまうことが。



好きに弄ばれるこの行為にも、随分慣れてきたつもりだったのに。




悠真が欲しいと深く深く心がざわつく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る