第2話

“今日は気分じゃないの”




悠真の口角が持ち上がったのを見て、言おうとしていた言葉を飲み込んだ。



そんな意見など認められない。



私は悠真のペットなのだから。





「まさか。そんなこと……」



「だよね」




悠真は優しい桜のような笑顔を振り撒き、目で私を押さえつける。



やんわりとした口調なのに眼差しだけは強くって。



私はいつも通り逆らうことなく小さく頷いた。




「ほら、脱ぎなよ。愛梨」




部屋の真ん中に置かれた布団の上で悠真は私を見て優しく微笑む。



羞恥心を煽ってるみたい。


悠真は恥ずかしがる私を見て楽しみ、楽しんでいる悠真を見て私が満足する。



恋人同士なわけでもないのに、甘い雰囲気に酔いしれる。



足りないものでも補うように。

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