第4話 刻む

第29話

「ただいま」

腕時計を引き取りに行って帰ってきた星利は、そこにザクラと龍海がいないことに気づいた。

「・・・あれ、春風と龍海さんは?」

留守を任されたらしい、星香が台所に立っていた。

「ああ、なんか王様に呼ばれたらしいわよ」

「国王陛下に?!」

「白羅って子が帰ってちょっとした頃に、今度は王宮から御使いが来て」

「なるほど・・・」

星利は納得し、リビングの椅子に座った。

「なんの用だろうな・・・」

「やっぱり気になる?」

ひと段落ついたらしい星香が星利の隣に座る。

「ああ」

「なんていったって、ザクラちゃんのことだもんねー」

うふふ、と星香は笑う。

「う、うるせー」

「ま、陛下が急に呼び出すことなんて、よくあることらしいから。だから大丈夫よ」

王宮直属の病院に勤める星香はそう言って、星利の肩を叩いた。

「だといいけどな」

「うん」

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