第26話

「たぶんザクラちゃん、海宝石がなくなっても根っこから『海救主様』なのね」

「そうだな」

「うーん・・・。 これはずいぶんと時間がかかるかもしれないわね」

「え?」

「ザクラちゃんの心の復興」

「あいつの心の復興・・・?」

「そう。誰よりも優しくて、仲間や大事なもののためなら自分を犠牲にしてしまう、ザクラちゃん。 これは相当キテるはずよ」

「そこまでキテるとは思えないけどな・・・」

2人はちらり、と台所を見る。

蛇口から流れる水の音が、ジャージャー、と聞こえる。

「とにかく。 ザクラちゃんの心が復興するまで、ザクラちゃんを支えるのが私たちの役目なんだと思う」

「うん、確かにな・・・」

「だから頼んだわよ、ザクラちゃんのこと。

ちゃんと守ってあげなさいね?」

星香はそう言って、星利の肩をボンッと叩いた。

「痛えって! 力加減しろよ!」

「あ、ごめん。強すぎたわ」

「まったくもう・・・」

星利はそう言って、叩かれた左肩をさする。

と、そこへ。

「おい、ザクラ」

朝の日課である、道場での修行を終えた龍海がやってきた。

「おはようございます、龍海さん」

「ああ、おはよう」

龍海は星利と星香に気づいて挨拶を返した。

「どうしたの、お父さん」

ザクラはそう言いながら食器を洗う手を止めた。

「実は、お前に客人が来ているんだが・・・」

「お客?」

星利たちにピリッとした空気が流れる。

「なんか・・・望月島とかいう国のお姫様なんだが?」

「え・・・?」

「白羅・・・?」

ザクラと星利は驚く。

「どうする? なんだったら俺が代わりに話を聞いてきてもいいが・・・?」

ザクラは少し考えた後、父の方を見た。

「・・・いや、大丈夫。お通しして。旅の途中でお世話になった人だから」

「・・・わかった」

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