第25話

翌朝。ザクラと星利、星香は春風家の食卓で朝食を摂っていた。

「じゃあ、今日はザクラちゃんと星利は、昨日預けた腕時計を取りに行くのね?」

「はい」

ザクラはそう答えながら食べ終えた食器を片付ける。

「まあ、昨日行ってちゃんと帰ってこれたから、別に大丈夫だろうけど・・・。

一応、気をつけて行ってらっしゃいね?」

「はーい」

ザクラはそう言って台所へ姿を消した。

「腕時計って、ザクラちゃんの誕生日にあげたやつ? 大事にしてくれているみたいで良かったじゃない」

「まあな」

そう言った星利の顔は少し浮かない表情をしている。 それを見た星香は首を傾げる。

「どうしたの? 嬉しくないの?」

「いや、嬉しいよ。 腕時計が直るって知ってあいつ嬉しそうだったし、それだけ気に入ってくれてるって分かってすごく嬉しかった」

「その割には、あんまり浮かない顔してるわよ? なんかあった?」

少し間を空けて星利は口を開いた。

「・・・実は、復興途中の町にあいつを連れ出したことを少し悔やんでいる」

「え?」

「あいつ・・・、町があんなことになったのは、自分のせいでもあるって思ってる」

「は? どういうこと?」

星利は、町が荒れたのは確かにウィーン・ウォンドの力のせいではあるが、それには自分も少なからず関わっていることに、ザクラが胸を痛めていることを話した。

「えー・・・」

それを聞いて星香は少し引いた表情になる。

「ザクラちゃん、そんなこと気にしてるの? どんだけなのよ」

「だろ?」

「まったく、そんなこと気にしなくてもいいのに。 キリないわよ」

「確かにあの戦いには春風も関係あるけれど、町を荒らしたのはウィーン・ウォンドの力だ。

あいつが気にする必要なんてない」

星香は、はあー、と長いため息をついた。

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