第21話
「はい、診察終了! もう大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
そう言いながら、診察を終えたザクラが診察室から出てきた。
「お? 終わった?」
待合室で雑誌を見ていた星利が顔を上げる。
「うん、もう大丈夫だって」
「そうか、よかったな」
「うん」
そんな2人のやりとりを、島江と受付に座る初老の女性がニヤニヤしながら見ていた。
「はい、春風さん。 今回の診察のお代金はこちらになります」
「はい」
ザクラがショルダーバッグから財布を取り出し、小銭を数えていると。
「にしても、春風さんと風丘くん、本当にお似合いだよね。 付き合ってどれぐらいなの?」
「えっ?」
島江の言葉に2人は驚く。ザクラに至っては、びっくりして財布の中をひっくり返してしまった。
「だって、2人のやりとり、見ていて微笑ましかったよ? な? 千秋?」
「ええ」
千秋、と呼ばれた受付の女性も微笑みながらうなずく。
「え、えっと・・・」
2人の勘違いにザクラたちは困惑する。
「その・・・」
「私たち・・・付き合ってないですよ?」
ザクラが気まずそうに言うと、島江と千秋は驚く。
「え、付き合ってないの!?」
「は、はい・・・」
「あー、そうだったの。ごめんなさいね」
「い、いえいえ」
「そっか、そうだったんだ・・・」
なぜか、島江はしょんぼりと肩を落とした。
「お似合いだと思ったんだけどなー。美男美女で」
「は、はあ・・・」
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