第17話

星利side


「ーーーってことがあったんだけどな? どう思う?」

翌日、あいつがいない場所で仲間たちに尋ねてみた。

「あー・・・。確かにずっとそんな感じだよな、ザクラちゃん」

「考え込んでいるというか、ボーっとしてるというか」

「やっぱりそうか・・・」

どうやら北斗たちもあいつのそんな姿をよく見かけていたらしい。

「そもそも、あいつの母親の墓参りしてからおかしいんだよ。大丈夫かよ、春風」

「うーん。

体調が悪そうとかではなさそうだけど・・・」

姉貴はそう言って両腕を組む。

「・・・あの子に限って、自分の命を殺めるということはないと思うけど・・・」

そう言った水神の顔は真剣だった。

「バカ言うなよ、スッチー」

レオが縁起でもない、と言う。

「バカ言ってないわよ?! もしかしたらそういうこと考えているかもしれないって思っただけよ? ありえなくはないでしょう?」

「ま、まあな・・・」

水神の気迫にレオは押される。

「ずっと背負っていた役目を終えて。それがすっぽりなくなって・・・。

とにかく、一応気をつけて見守りましょ?今は」

「そうだな・・・」

水神の提案にオレらはうなずいた。

とりあえず今はそうするしかない。そう考えると辛い。

あいつが何を考えているのか、何がそんなにあいつを苦しめているのか。

その苦しみを1人で抱えていないで、できるならオレらに分散して欲しい。

そうすれば、楽になれるのに・・・。

「で、話変わるけどさ?」

何かを思い出したらしい口調でレオが言う。

「ん? どうした?」

「星見の王」

「あ?」

「お前、海救主ーーーいや、春風に告白したろ?

あれからどうなった?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る