第7話
店のウェブサイトは作ったし、近隣で配られるフリーペーパーに広告も出した。SNSも利用しているが、集客が見込めるほどのフォロワーはまだいない。
もちろんこうなることは想定していて、軌道に乗るまで持ちこたえられるよう、入念に事業計画を立て、それなりの資金は準備したつもりだった。
それでも、現実的な友人、舞花からは、厳しい言葉が飛んでくる。
「もっと危機感持ったほうがいいよ? のんびりしてたら貯金ゼロだよ」
「貯金……確かに。ああ、そういえば、おばあちゃんが入院しちゃって」
心配をかけすぎないように、晶はできるだけ明るい声で言った。舞花は、晶にとって祖母がたった一人の身内だということを知っている。
このタイミングでの祖母の入院だけが、予想外の出来事で、一番の痛手となった。祖母は手術を控えており、長期入院も見込まれるため、このままではいずれ貯金が尽きるのは目に見えている。
しかし、舞花が晶にとって大切な友人であるからこそ、お金のことまでは気軽に相談できなかった。
「それは心配だねえ。ところで、さっきからインターホン鳴ってない?」
ピンポーン。ピンポン、ピンポン、ピンポーン。
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