赤石山
第8話
歩くこと数分。俺がこれから登る屋敷の裏にある山、赤石山の麓に到着した。
「この山の中腹に、柊家の氏神で火の神さまが祀られている神社がある。そこへ行かなくてはならないーーーよし、行くぞ」
と、足を踏み出した直後。
「北斗」
レオが声をかけた。
「どうした」
レオの呼びかけに俺は足を止める。
「…どうやらお前の親父さんが言っていたことは本当だったみたいだな」
「…まさか、入れないのか?」
『護衛をつけたいところだったが、生憎裏山には柊家の当主と次期当主候補しか入れないからな。くれぐれも気をつけるのだぞ』と、当主の言葉が脳内で再生される。
「退魔の結界が張られている。そこのしめ縄から先へ俺は入れないみたいだ」
俺が足を踏み出した入り口には鳥居があり、そこにはしめ縄が飾られていた。
「そもそも俺は柊家の者ではないし、神様の領域に入れない類のものだからな。よく考えたらそうだったな」
そう言ってケラケラとレオが笑う。
「…レオ」
「俺はお前が戻ってくるまでここで待ってるよ。大丈夫、お前は火の神様に愛されている子だろ?それにあの戦いを生き抜いたんだ。自信もてよ、北斗」
「…分かった。行ってくる」
「ああ。気をつけてな」
待っている、とレオは言ってくれたが、後ろ髪を引かれる。
ーーー大丈夫、大丈夫。
そう念じながら俺は神社に向かうべく足を進めた。
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