第95話

「いや、ぶっちゃけさ……」



「うん?」



「お前が居ねぇと調子狂う。ストレスの捌け口がない、つーか」



「……なにそれ?」



「うるせぇ。お前は黙って俺に弄られとけばいいんだよ。勝手に避けんな、バカヤローが」




言葉を荒らげてベットに乱暴に座るショウを見て、笑いが込み上げる。




「ふふ。やっぱりいつものショウだ」




私がストレスの捌け口って、ちょっと微妙だけど、これでこそいつものショウだよ。




「ふーん」




ちょっと複雑な気持ちに陥りつつ笑ってたら、ナオがひょっこりドアから顔を出した。




「んだよ、ナオ。意味深に呟いてんじゃねぇぞ」



「別に。ただ俺は健オジさんから電話が掛かってきてるってショウに伝えにきただけ。携帯に掛けても出ないとか言ってたけど」



「げ。親父から?うわ、携帯下に置きっぱだった。だる」




ナオの言葉を聞いたショウは顔をひきつらせて、私の部屋から急いで出ていった。




ドアが閉まる音と同時にナオが小さく吹き出す。

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