第94話

ショウに真顔とか怒った顔で見つめられると純粋に怖い。




昔から散々乱暴に殴られてきた私にとって、ショウは恐怖の存在でしかないんだもん。




でも、内心怯えきっていた私の予想とは違って、ショウは私から目を逸らすと苛立たしげに自分の髪をクシャクシャと掻いた。




「……悪かったな」



「……はい?」



「だから、悪かったな。さっきは言いすぎた。あと、チークのことも」



「………」




まさか出てくるとは思わなかった言葉に心の底から驚く。




怒りなんて驚きすぎて、一瞬でドコかに飛んでいってしまった。




ショウに謝られたことなんて今日が初めてだもん。




やっぱり今日は濃い1日だよ。



むしろ、濃すぎて怖い。





「不満か?」



「えっ?ううん。そんなことないけど、急にどうしたの?」




眉を寄せるショウに慌てて首を横に振る。




ショウったら、本気でどうしちゃったんだろう?

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