第96話

ドアを見つめてクスクス笑うナオに首を傾げる。




「ナオ?どうしたの?」



「いや、ショウも素直に言えばいいのにって思っただけ」



「ストレスの捌け口の話?」



「そう。それ」




笑い混じりにそう言うと、ナオは六法全書を手に取ってベットに寝転がった。




途中のページで挟んであった栞を枕の横に置いて、涼しい顔でスラスラと読み進めてる。




「ねぇ、そんな難しいの読んでて楽しい?」



「かなりね」



「ドコが楽しいの?」



「全部」




横から尋ねた私に、ナオは煩わしそうな表情を浮かべて曖昧に返事をしてくる。




それ以上追求することを諦めた私はナオの横に寝転がって、枕元に置いてあった栞を両手で摘んでマジマジと見つめた。




淡いピンクのコスモスを押し花にしてある栞。




凄く可愛いっ。

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