第92話

ふと机に目を向けてみたら、分厚い“何か”が置いてあった。




ベットから起き上がって、それに手を伸ばす。




「六法全書?」




国語辞典や英和辞典より少し分厚いそれは、ナオの“六法全書”




そっと捲って見てみれば、理解不能な難しい言葉の羅列が沢山並んでいる。




「む、難しいっ」




ずっしりと文字が詰まった見慣れない言葉の数々に、それ以上見る気を無くした私は六法全書を静かに閉じた。




こんなものを好き好んで読んでいるナオの気持ちがわからないよ。




やっぱり読むなら少女漫画の方がいい。




六法全書を机に置いて、私は本棚から一冊の本を取り出した。




超絶イケメンな幼なじみに強引に迫られて恋に落ちる話。




「やっぱりこっちの方がいいや」



「なーに1人でブツブツ言ってんだよ」



「え?あ、ショウ……」

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