第91話

腹立たしいような切ないような、やり場のない感情で心の中が埋め尽くされる。



自分の部屋の中に飛び込むと、そくさまベッドにダイブした。




1人で寝るには充分なフワフワのシングルベッドの上で、白いフリルのついた布団カバーを指で撫でる。



高校生になる時にママに買って貰ったお気に入りのそれは、いつも通り肌触りが良くて心地がいい。



でも、ショウに言われた言葉が脳裏をチラチラと掠めて落ち着かない。




私って……そんなに魅力がないのかな?



もう高校生なのに、誰にも女の子として見て貰えないんだもん。



サナちゃんは『4人の中の誰かがカンナの王子様じゃない?』って言ってたけど、やっぱりあり得ないと思う。




そもそも、本当に王子様と知り合えるのかさえも疑わしいよ。



それこそ魔法使いのお婆さんが現れて、私に魔法を掛けない限り出会うことすら出来ない気がする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る