第81話

「ん?カンちゃん来た~?」



「あ、アヤト」




ヒヤヒヤしてたら奥の厨房からアヤトがひょっこり顔を出した。



救世主到来っ!なんて思ってたのも束の間で……。





「え?今日面接に来るって言ってた女の子って、篠田さんのことだったの?」



「そう。カンちゃんのこと」



「へぇー。そう」




アヤトに確認をとった先輩はショーケースに肘をついて、ふわっと上品な笑顔を私に向けてきた。



それは動物で表すなら愛くるしい見た目とは違って、実際は獰猛な“シャチ”



そんな、どことなく刺があって怖い笑顔で……。




ここで先輩と働くことを想像すると頭がキリキリと痛んでくる。

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