第82話

「ま、雑談は後で。オーナーが待ってるから」




アヤトは先輩に向かって微笑を向けると、私の肩を抱いてお店の奥に足を進めた。



厨房にいたパティシエさんが私達に好奇な眼差しを向けてくる。




甘い香りが漂う癒しの空間とは真逆に気持ちは少し苦々しい。



もうっ。悪目立ちしてばっかり……っ。





「ちょっと、恥ずかしいからベタベタしないでよ~!」



「細かいことに拘るなって」





咎めてみてもアヤトは離してくれる素振りもない。



そのまま強引にアヤトに連れられてスタッフルームみたいなところに足を踏み入れた。



6畳くらいの部屋の中に、机とイスが何脚か置いてあって、1番奥のイスに渋いニヒルなオジ様が腕を組んで座ってる。




この人がオーナーで先輩の叔父さん?

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