第80話

白くて清潔な店内に、木で作られたメルヘンな可愛い小物が沢山飾られてる。



ふわふわなケーキが並ぶショーケースの向こう側で、白と黒のメイド風の制服を着た店員さんが、売り切れたケーキのトレーを下げていた。




「あの、すみません」



「あら?篠田さんじゃないの」



「わっ!先輩……」




立ち上がった店員さんと目が合った瞬間、思わず声が裏返る。



今日私に水を掛けてきた園芸部の先輩、中川アカリさん……。




「ど、どうして先輩が?」



「ここは叔父のお店なの。私はお手伝い。なに?私がこのお店にいたら何か問題でもある?」



「え?あ、いや、その……」





返答に困っちゃう。



まさか先輩がここで働いてるとは思わなかった。



それにオーナーが先輩の叔父さんなんて聞いてないよっ。



今日の朝のこともあるし、ちょっと気まずいのにー。

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