第72話

「カンナって行動が子供だよね。拗ねる時とか」




クスクス笑われて一気に気持ちが沈んでくる。



もうやだ。



どこに行っても子供扱いされちゃう。




もうここまできたら、私に恋愛感情を持ってくれる男の人なんてロリコンの人くらいかも知れない。





「どうせ子供だもん……。あーあ。それでもアヤトはナオと違って、私のことを一応女の子扱いしてくれるのに~」



「アヤト?」




ナオはピクッと肩を揺らすと、動かしていた手を止めた。





「他の3人に比べたら全然優しいもん。今日だってバイトを紹介してくれるって言ってたし」



「ふーん」



「女の子の気持ちがわかってるよね。アヤトは」



「うん」



「他の女の子がアヤトを好きになっちゃうのも……」



「……やめとけば?」




強くはっきりと遮られた言葉。



タオルが床の上に滑り落ちる。



フローリングの茶色とタオルの白色が混ざって、ミルクココアみたいって場にそぐわないことが頭に過った。





抱き締められたと気づいたのは数秒後だった。

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